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組み立てた足場などで、ネットが張られているのを見たことがあるのではないでしょうか。
なんのためにネットを張っているのか不思議に思ったこともあるかもしれません。
足場でみかけるものは「層間ネット」と呼ばれており、足場の安全性を高めるためにも必要です。
層間ネットとはどんなものなのか、使い方も含めて詳しく解説していきます。
足場の層間ネットとは
層間ネットは“安全ネット”とも呼ばれているものになり、足場や吹き抜け、階段などで使われています。
足場は高所での作業になるため、万が一に備えた安全対策を行う必要があります。
人の墜落・転落の際に受け止める役割を担っているのも層間ネットです。
また、ネットの網の大きさにも種類があるため、網目が小さなものは工具やビスなどの落下防止にも適しているのが特徴です。
少し余裕を持ち垂れている状態にするのが一般的なつけかたです。
層間ネットを設置するのは、主に隙間に対して補足する目的です。
平成27年よりそれまでは明確な基準がなかった足場工事でも、さまざまな規定が決められるようになりました。
足場の高さ2m以上の作業床では、隙間を12㎝未満にするように決められています。
床材を片側に寄せて12㎝以上の隙間が出来てしまうときは、要件外になってしまうため工夫が必要になります。
いかに安全性を考慮した足場の設置基準を満たすのかを考えたときに、層間ネットを使って補うケースも少なくありません。
作業の都合上、層間ネットを使って、12㎝以上の場所に追加措置を行うこともできます。
たかが層間ネットだと思うかもしれませんが、設置している・設置していないでももしもに備えることができます。
クッション代わりになる分、衝撃を減らしてケガの軽減につながるかもしれません。
層間ネットはどんな構造でできているの?
層間ネットは、つり網や縁網、仕立糸などを使って作られています。
おもに合成繊維としていることもあり、頑丈でしっかりとした素材です。
また、網目の辺の長さは10㎝以下などの明確な基準があります。
他にも網目の部分の辺の長さが10㎝以下であり、網地はかえるまたはその他のずれがない結節になるなどの基準が設けられています。
そのため、どんなネットでも代用できるわけではありません。
層間ネットの強度についても基準があります。
設置するロープおよび縁ロープの強度は「体重」×「加速度15G」によって、計算して荷重の条件をクリアしているかどうかを確認する必要があります。
墜落・転落する人が何キロまで対応できるのかを確認したうえで、設置しないと意味がありません。
一般的に販売されている層間ネットになると、100㎏程度の人の荷重に耐えられるような強度を持っているものもあります。
設置するポイント
層間ネットを設置するポイントとして、まずはその意味を考える必要があります。
厚生労働省の「安全ネットの構造等に関する安全基準」によって明確な基準が設けられています。
取り付けるときに、どの範囲の作業者の墜落防止につながるのか、役立てるのかを十分に検討して考えていく必要があります。
いかに安全性を高められるか、そのためにもネット周辺の隙間(空き)が20㎝以内になるように取り付けていきます。
複合でいくつかネットを使う場合も、20㎝以下の間隔で強く結んでいく必要があります。
どんなに層間ネットが優れていたとしても設置方法が間違えていると、本来の機能が使えなくなってしまいます。
設置する際にも十分に注意するようにしてください。
層間ネットの垂れは衝撃を緩和してくれる
層間ネットは、ある程度の垂れを持たせて設置するのが一般的です。
これは、たるみがあるほうが衝撃を緩和してくれるためだといわれています。
層間ネットによってはこの垂れの程度も事前に計算されているものもあるため、現場に合わせて自分で調整する必要がありません。
とはいえ、どの程度の足場に設置するのかによっても垂れの度合いが変わってくるため、高さを計算しつつ選ぶ必要があります。
同時に層間ネットの下部のあきについても考えておかなくてはいけません。
層間ネットが墜落した人を受け止める場合、ネットが下方向に沈むようになります。
どんなに安全性が高いものでも、十分な高さがないと受け止めたまま地面に衝突してしまうことがあります。
ある程度の下部のあきまで計算しておかないと、安全とはいえません。
固定するときも強度の高い場所にしっかりと結びつけること、四隅にゆるみがないかを確認するようにして補強するなどの対策をとるようにしてください。
まとめ
足場の層間ネットについて、詳しく解説しました。
あくまでも消耗品になるため、1年を目安に交換するようにしておきましょう。
もし一度でも使用した場合は安全性を高めるためにも廃棄するなど、管理面を徹底するようにしておくことが大切です。
層間ネットを使って足場の事故のリスクをできる限り減らしていきましょう。